Bリーグ特別指定の年齢制限撤廃について思うこと
発展のためには、規制は少ないほうが良い。
Bリーグの特別指定選手の年齢制限が、今までは満16歳以上としていたものを、
その制限を撤廃するとのリリースが出されました。
初めに言っておくと、私はこの改正には賛成です。
(というか、この制限があることを知らなかったw)
Bリーグの大河チェアマンは、横浜ビー・コルセアーズユースチームに所属する田中力(15)選手を具体例に挙げて、出場可能という説明をしました(もう時期も時期なので少なくとも中学生の時期に実現する可能性は低いかと思いますが)
しかしまぁ当然、この年齢制限撤廃に関しては賛否両論ありました。
主な争点となるのは、以下の二つ。
- 中学生以下が大人(しかもプロ)と同じフィールドで試合するのは、成長過程の子供の身体への負荷が大きく危険
- NCAAは、プロアマ規定が厳格であるため、もし特別指定でプレーした経験のある選手がNCAAに行こうとしてもアマチュアリズム規定に反し、その機会を逃す心配がある
まずは
1.中学生以下が大人(しかもプロ)と同じフィールドで試合するのは、成長過程の子供の身体への負荷が大きく危険
について。
これに関してはまずそこまで心配ないんじゃないかと思っています。
まず、制限撤廃したからといって2枠しかない特別指定をわざわざ使ってまで
トップチームの試合に出場させるクラスの選手なんてそうそういないということ。
当然ですよねw
世界を例にとっても、スペインの神童と呼ばれたリッキー・ルビオ。
彼は14歳でプロデビューしましたが、こんなの超絶レアケースで、
そうぽんぽんと出てくるはずがありません。
この選手も最年少記録更新しましたが、その前もそれ以降も中学生でそこまで行ける選手なんてそうそういないんです。
だからいわゆる既存の「将来有望」レベルの選手が総じて
中学生のうちからB1で国内トップレベルでプレーするなんてことはなく、
言わば「国宝」レベルの選手にのみ契約の可能性があるわけです。
使い古された表現でいうと、10年に1度の逸材とかそんなレベル。
また、まだ体のできていない中学生というのは百の承知。
出場時間もおそらく30分とか出ることはないと思います。
おそらく運用としては、トップチームの練習にのみ参加して、
試合出場は10分に満たないくらい、といったところになるでしょう。
おそらくその「国宝」レベルの選手を受け止められる同年代は日本にそんないるはずもなく、
じゃあ「ヨコ」に相手がいなければ「タテ」に探すわけしかないわけで。
そのドアは常に開かれているべきだと思います。
続いて、
2.NCAAは、プロアマ規定が厳格であるため、もし特別指定でプレーした経験のある選手がNCAAに行こうとしてもアマチュアリズム規定に反し、その機会を逃す心配がある
まぁそもそも改正前からこれ言われてましたけどねw
どこから説明するか迷いますが、
とりあえずNCAAは米国の大学スポーツ機構。
バスケ以外にも様々な競技があります。アメリカの大学の高体連みたいなもの。
ただ、中でもバスケは一番人気が高いらしいです。
毎年、NBAにドラフトされる選手のほとんどがNCAAから排出され、
NBAへの登竜門とも呼ばれます。
現在、渡邊雄太や八村塁などがそれぞれD1と呼ばれるいわゆる1部リーグ(厳密にはちょっと違うのだけど)に所属し、NBA入りを目指しています。
現在ポートランド大の1年生で活躍するディアベイト・タヒロウ(表記はいろいろあるみたい)。
帝京長岡高校に所属し、高校バスケのゴール下で存在感を発揮したマリ出身の逸材ですが、
彼がポートランド大に進学するまでのわずかな期間の間、新潟アルビレックスBBの練習に参加するとの表明がありましたが、その後NCAAの規定に引っ掛かるとして、参加を取りやめました。
このNCAAの規定とは何かというと、以下のリンクで示されています。
さすがに全部読んでませんが(英語ですし)
読んでいくと、頻出するのが"Amateurism"の文字。
ただ、このAmateurismというのが曖昧で、正直このルールの運用がよくわからない。
認識としては、「プロバスケット選手はNCAAでプレーしてはならない」ということは一応認識されています。
一般に認識されているのは、
という2点で、「過去にプロ選手としてプレーしていた競技者がNCAAでプレーしてはいけない」というのはおそらく1.に触発します。
ただ、タヒロウの件は練習だけだしそもそも金銭発生していない(はず)なので、
それ問題なの!?ってことでいろいろ議論になりました。
(僕は単純に新潟とポートランド大とNCAAのコミュニケーションが足りなかったのではないかと考えています。)
NBAインディアナ・ペイサーズ所属のドマンタス・サボニスは
ゴンザガ大学に入る前にすでにスペインの強豪クラブ、ウニカハ・マラガでプレーしており、(プロ契約はNCAAでプレーするためにしなかったとの記載あり)
それでもNCAAでプレーできています。
まぁ正直、凡例とか不十分で、そのアマチュア規定がなんなのかよくわからない。
つまり、NCAA側の気分次第?なところがあるわけです。
Bリーグの特別指定制度をどう説明するか(僕は問題ないと思います)っていうのが重要ですよね。コミュニケーション。
これをしっかりと指導できる人が必要で、
もちろん中学生が個人の判断で特別指定をするとは思いませんが、
親やクラブ側がしっかりとその関係性を指導することが必要と思います。
とまぁここまで説明してきましたが、改めてこの特別指定という制度を再考するいい機会となっていると思います。
日本が世界と比べて大きく劣っている点としては、トップリーグでプレーを始める年齢が軒並み遅いこと。
長い間プロクラブが高い報酬を用意できず、また経営も不安定であったため、
高卒でその活躍の舞台をトップリーグに移すということが非常に障壁の高かった日本。
22歳という年齢は、世界ではすでにナショナル・チームの主力となってもおかしくありませんが、
日本の主力である比江島、田中、篠山、竹内らがトップリーグ入りしたのは22-23歳のころ。
世界基準では若くありません。また、クラブ側も自前で育ててきた選手ではないので適用に時間がかかり、実質そのクラブ内でも主力として活躍し始めるには3年くらいかかると思っています。この時間が非常にもったいなく感じます。
一方で女子は高卒でWリーグ入りする選手が多く、こちらはやはりある程度の成績を収めることができています。
やはりトップリーグ入りは早いほうが望ましく、しかし高卒プロ選手をすぐに排出できるわけでもないので、その間の手段として特別指定というのは非常に合理的な判断かなと思います。
特別指定の年齢制限撤廃も、もっとU18チームが整ったり、U23やサテライトチームが充実してくるともっと有効に使われると思っていて、そういうのが今後整備されていくんじゃないかなあと。
今まで、日本は育成をアメリカに任せていました。
田臥勇太、富樫勇樹、渡邊雄太、八村塁など、日本を代表する選手は、
すべてアメリカでプレーし、成長をしてきました。
海外でプレーする、というのはどうしてもいろいろな障害があります。
みんながみんなアメリカに行けるわけでなく、
また、18歳以下の子供が親元を離れ一人で生活するってすごいリスクだと思っています。(何なら僕は国内留学(県外の強豪校に行くみたいな)も反対派)
国内で世界に通用する選手を育てられないようでは日本代表に未来はないと思っています。
そして、こんな言い方すれば反発招くかもしれませんが、たかだか大学リーグであるNCAAのほうがアメリカ以外のプロリーグよりもレベルが高いっていうのは変な話だなあと思っていて、
まだ無理だと思うけど、10年後くらいにはBリーグで成績を残して20くらいでNBA行く、とかがあってほしいなあと思います。「日本人選手がドラフトにかかる」もいいけど、「Bリーグ所属の日本人選手がドラフトにかかる」くらいまでリーグ価値高めていけないかなぁと。(もちろんBリーグがNBAよりも大きくなったらそれは素晴らしいですけど)
Bリーグは日本の持つ人的資源を効率的にフル活用して、国内で人材を育てられるようなリーグを構築していってほしいかなと思います。